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2011年3月

2011年3月30日 (水)

九州鉄道記念館811系シミュレータ開発記3

811系シミュレータ前面 音楽館で基本的なプログラミングを行い、納品するPCを九州へ出荷します。

今回の工事は2週間。シミュレータのハードウェア(速度計などの計器や、ランプなど)をばらして音楽館社内に持ち込み、社内でデバッグできないのでハードウェアに関しては現地での作業になります。となると、現地ではもっぱらハードの動作確認に費やされます。

まず行われるのがすべての動作する機器を繋いで電気的に動くのかを確認し、それからPC本体に接続してソフトウェア経由で動作するかを確認します。しかしこれが簡単にはいかず、やっとのことでPCとの接続を確認したと思ったら、今度は速度計などのメーター類などがソフト上の数値と合わない。ランプが動作しない。ブザーを押しても音が鳴らないなど、会社内では確認できなかった事象が山のように出てきます。
これらをすべて片づけて、やっと運転のできる状態になるのです。

運転可能になると、最後に実運用を想定したチェックを行い、いままで発見できなかった問題点などを発見・修正をして完成させていきます。


運転台床下の調整中

床下スピーカー


九州鉄道記念館 リニューアル811系シミュレータ 門司~西小倉

会社内では数値上でしか確認できなかった機器の動作が、実際に計器やランプを通して動作しているのをみると、嬉しく思うのと同時に「こうじゃない」と思うことも出てきます。
たとえばデッドセクションにおける針の振れ方が、動かしてみると全に0kVになってしまう。しかし本当の車両ではほんの一瞬のため実際は15kVぐらいまで下がらないのですこういう修正も行わなければなりません。


デッドセクションの動作


ATS-SKの動作

今回新しくなった機能は、状況表示モニタとモード選択スイッチです。
モード選択スイッチは[ビギナー]・[ノーマル]・[プロフェッショナル]を選べるスイッチで、[ビギナー]は音声と表示のガイドあり。[ノーマル]は音声ガイドが無く、表示ガイドのみ。[プロフェッショナル]は音声も表示もガイドはありません。
状況表示モニタは縦型モニタを採用し、そこに従来の速度や勾配、残り距離表示のほか、画面上部3分の2ほどに門司港から折尾までのスタフ(行路表)を模したものを表示しています。
これはモードを選択して運転画面に入った時点での時刻をもとに、自動で生成している臨時ダイヤのものです。自分の列車が遅れないように時間をチェックしながら走ると面白いと思います。


モード選択スイッチ

状況表示モニタ

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2011年3月27日 (日)

九州鉄道記念館811系シミュレータ開発記2

九州鉄道記念館のシミュレータ

デバッグ表示のシミュレータ画面

シミュレータを作るには、まず仕様を決めます。
JR九州から求められたのは、初級・中級・上級のようなレベル分けを行い、ユーザーが選んで遊べるようにする。上級ではATSなどの機器動作をリアルに行う。運転評価を行う。女性と男性の車掌音声を再生する。などです。
レベル分けは最終的に[ビギナー]・[ノーマル]・[プロフェッショナル]という各モードになり、プロフェッショナルモードではATS動作時にATS確認ボタンを押さないとATS非常ブレーキが動作するようになっています。(ビギナー・ノーマルでは確認作業はできますが、確認しなくてもATSは動作しません)
また、運転評価は『信号・制限の遵守』・『定時運転』・『停車時衝動』・『停止位置目標との誤差』・『非常ブレーキ動作』の5つの項目で行います。各項目は20点の持ち点で減点方式により評価され、運転後に採点と称号がもらえます。
称号は、ビギナーが『もうすこしがんばりましょう』と『よくできました』。ノーマル・プロフェッショナルが『見習運転士』・『一般運転士』・『指導運転士』となっています。
ちなみに車掌の音声はユーザー交代ごとに女性と男性が入れ替わり、案内放送を行います。
音楽館特有のオーバーラン後のお詫び放送も一応収録してあるので、あまり車掌さんを謝らせ続けないような運転を心がけましょう。笑


  シミュレータの運転台

この基本的な仕様をもとにメインプログラムを行いますが、他に大事なのは車両の性能。
811系はサイリスタ位相制御なので、性能の引張力自体は簡単に割り出せますが、そこから産出する基本の加速度がわかりません。文献にもネットにも811系の加速度に関する記述がないため、JR九州の車両課に質問したところ、加速度は2.2km/h/sとのこと。211系が1.7km/h/sだったので、若干速めです。
減速に関しては最近の車両では当たり前になった回生ブレーキは、デッドセクションの関係で搭載されておらず、抵抗制御による発電ブレーキで行われています。この発電ブレーキも速度域ごとに立ち上り反応速度がバラバラで、低速になればなるほど発電ブレーキが立ち上らない(100km/hだと2秒で立ち上るが、50km/h以下だと6秒以上かかる)という特性も再現しました。
また、この車両は増圧ブレーキを搭載しているのですが、増圧ブレーキ作動条件と解除条件、増圧率がわからず、撮影時に運転士さんと運転科の方、車両課の方に聞いてみたところ、3人全員が唸ってしまいました。後日車両課の方が資料をひっくり返して調べていただいた結果、動作は100km/h以上、解除は40km/h以下、増圧率は通常のBC圧力値の115%増ということでした。
このように、これでもか!というほどのリアルな車両を組み上げるのですが、残念ながらユーザーの操作を一部簡単にさせるため、再現していない機能もあります。それがEB装置とATS警報持続ボタン、それとATS復帰スイッチで、これらの機能は操作が分かりにくいことから今回は見送らせていただきました。(ATSが動作しても停車後に自動的に非常が解除され、駅停車で持続ベルも鳴りやみます)

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2011年3月25日 (金)

九州鉄道記念館811系シミュレータ開発記1

撮影に使用した813系

現在、音楽館では3月31日にリニューアル予定の九州鉄道記念館用811系シミュレータを鋭意製作中です。
この811系シミュレータは現在、門司港~西小倉の往復となっていますが、今回のリニューアルで門司港から折尾までの区間に延長されます。
今回はシミュレータの撮影秘話をご紹介します。

モーター音を収録した811系P1編成
ちなみにシミュレータの車両は811系P2編成

撮影は12月28日・29日に行われるため、我々撮影スタッフは前日の27日に博多に乗り込みました。
撮影区間は博多から門司港というかなりの長距離。そこで路線調査や音の収録を兼ねて、鹿児島本線の博多~荒木~小倉~博多と実際に811系に乗ってみました。
まず最初に行われたのが811系のモーター音収録。幸い下り方面の普通列車はあまり人が乗らずに静かな環境下で音の収録ができました。811系のモーター音は、201系+205系÷2といった感じ。
モーター音収録の際に必要なのが速度情報ですが車掌側の運転台にハンディーカムを向けて撮影していましたが、乗務していた車掌さんが相当訝しげな顔をしていました。


   駅音の収録風景

折り返し列車が赤間行きなので、赤間までに運転台の機器の動作などを調査することも怠りません。マスコン投入後の加速の反応速度、各速度域毎の電制の立ち上がり遅れや、BC圧の反応タイミングなどを詳細にメモります。
赤間で813系に乗り換えて小倉まで移動。途中の駅で駅放送なども収録しながらの取材となりました。

駅音は列車接近時や発車時にJR九州特有のプルプルと鳴るブザー音が鳴り響きます。小倉や博多以外は自動で鳴るものですが、小倉・博多では駅員の手動操作によりブザー音が鳴るため、小倉駅・博多駅では納得のいく音声が収録できるまで30分以上かかりました。(特に大きな駅では他の列車の音や放送が入るため、なおさら大変)
駅音の収録というと、ながーい棒の上にマイクを付けてスピーカーの音を直接拾うものを想像しますが、音楽館では周囲の環境音も同時に録音するため、普通のボイスレコーダーのようなもので収録します。
 

28日の撮影当日。南福岡車両区は絶好の快晴。朝7時に集合して撮影車両に乗り込みます。
撮影車両は811系と行きたいところですが、811系は前面窓が傾斜していてカメラが取り付け困難なため、前面が垂直な813系をチョイスして挑みます。
快晴の中、博多駅を出発したころで気になる雲が前面に広がります。明らかに雲は真っ黒け。どうみても雨雲です。
するとあれよあれよと香椎あたりでポツリポツリと雨が降り出しました。なんということでしょう!撮影失敗です!!
意気消沈な中、列車は門司港に到着。昼食ついでに九州鉄道記念館に寄ると、じょじょに雨が上がってきました。これならイケる!!と折り返しの撮影に期待したのも束の間、再び大雨。この日の撮影は博多~千早だけ成功となりました。


マイクの取りつけ

撮影風景

映像と音声チェック
左上のテルテル坊主が状況を語る

門司港到着
一日目はあいにくな天気だった

問題なのが今回の撮影、小倉~門司港を撮影できるのはダイヤの都合上28日の1日のみ。つまりこの日の撮影に失敗したため、門司港がシミュレータで採用できなくなってしまいました。
しかしその夜、社長がJR九州の方に事情を説明したところ、なんと29日も小倉~門司港の撮影ができるようにして頂けたのです!

そして運命の29日、やはり博多近辺だけが快晴で、小倉に向かえば向かうほど天気が悪く、28日と同じく雨模様に。
ですが嬉しいことに午後から天気が落ち着き始め、門司港からの折り返し時には、たまに雨粒がガラスに付く程度になり、なんとか門司港から海老津ぐらいまで雨に降られず撮影できたのでした。
全員ほっとして撤収できたのは言うまでもありません。

最終的に撮影使用区間は紆余曲折もありましたが、無理に短区間の博多周辺などを入れた細切れ区間をチョイスするよりも、実際の運用区間として存在する門司港から折尾の1区間に落ち着きました。(折尾駅の折り返し線にも使われる5番線に入線したのは偶然でした)

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